大気に開放の水の表面には大気圧がかかっており(大気圧で押されており)、その値は標準大気圧で10.3mです。つまり、配管の中を真空にすると、大気圧に押されて水は10.3mの高さまで上がってきます(添付図)。
但しこれは水が静止しているときの話で、配管の中を水が流れると配管抵抗により圧力の損失が発生するため、高さが10.3mまで上がらないうちに真空になってしまいます。
また、水は温度が上がると気体(水蒸気)になろうとする圧力が大きくなり(飽和圧と呼びます。)水蒸気が発生し、水温100℃では大気圧でも沸騰が起こります。
水蒸気が発生すると真空が破壊され、水は大気圧により10.3mまで上がることができなくなります。ポンプが水の吸込に利用できる圧力は、大気圧からこれらの値を引いたものとなります。
Av-NPSH = 10.3m - 吸上実高さ - 吸込配管抵抗 - 水の飽和蒸気圧