ポンプのミニマムフローとは、ポンプの過熱、騒音、振動などを生じることなく連続運転できる最小の吐出し量のことです。
遠心ポンプ(渦巻きポンプや多段ポンプ)の場合、締切運転すると水の撹拌による発熱で、次のような異常が発生します。
(1)内部圧力の異常上昇によるケーシング等の破壊
(2)内部の熱膨張による摺動部(ブシュやライナリング等)のロック
(3)水潤滑不良による摺動部(ブシュやライナリング等)のロック
これを防止するため、締切運転(または締切に近い小水量運転)の場合にはミニマムフローが必要で、通常は常時逃し配管等を設置します。 ミニマムフローの量は次の式から求めます。
ミニマムフロー Q = (Ls×860)/(60×t) (リットル/分)
Ls:ポンプの締切運転軸動力(kW)
t :ポンプ内部の水温上昇限度(℃)
≪例≫
締切運転軸動力が5.0kW ポンプ内部の水温上昇を5℃まで許容するとすると、
ミニマムフロー Q=(5.0×860)/(60×5)=14.3(リットル/分)
揚水ポンプ等で水温上昇限度に関する規定はありませんが、通常は5℃~10℃以下とします。
消火ポンプでは、水温上昇防止用逃し配管の流水量(ミニマムフロー)は、締切運転を連続した場合でもポンプ内部の水温上昇値が30℃を超えない水量とすることと規定されています。
尚、給水ポンプの様に、ポンプが標準吐出し量を外れた小水量で連続で吸上げ運転を行なう場合は、空気溜りの発生、揚水不能のおそれがありますので、別途ミニマムフローの検討が必要です。
(高揚程の給水ポンプは、流れ込みで使用する場合でも、加熱防止のためミニマムフローを設けることがあります。)